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法と律
追加日: 2023年3月6日
記録年(月):
吉祥経
Maṅgalasuttaṃ

【解説】

仏教の基本的なあり方を提示するゴータマ・ブッダの直説が残されているというパーリ小部経典『スッタニパータ』には、修行者に向けた言説が数多く見受けられるが、そのテキストとしての編纂過程に於いてはパリッタ(paritta 護呪経)として後の時代に民衆に親しまれるようになった「宝経」「慈経」「吉祥経」も加えられた。
仏教者としての幸せが、仏・法・僧伽の三宝を信じ、自他の命を慈しみ、法に従い為すべきことを為すことにある、といった内容を持つこれらの経が、護呪経としてテーラワーダ仏教諸国の様々な仏教儀礼に於いて誦唱されているのである。
こよなき幸せ(大吉祥経)と記されることもあるこの経には、幸福を得て安らぎに至るための数々の行いが簡潔に述べられているだけで、そこに呪術的な要素はなく、日常の行いや他者との関係に注意深さを保ち、穏かに生きることが最上の吉祥(幸福)であると説いている。

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