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法と律
追加日: 2024年1月14日
記録年(月):
火葬儀礼・論母の誦唱
MĀTIKĀ

【解説】

 比丘サンガの、地域の人々との関わりには多種のものがあり、それらは仏教文化として生活の隅々にまで行き渡ることで法の伝承にも寄与している。
 新築祝い、誕生祝い、あるいは布施供養など吉祥儀礼とされる行事に招待された場合は、九名の比丘衆による護呪経(paritta)の誦唱が通例となっている。
 一方、葬儀では、遺体が安置されている遺族の家で数日間の読経が為されることがあり、そのような場合は夕方から四名の比丘が家を訪れ、パーリ論蔵から編集された経(アビダルマ七論)が誦唱され、その後の、火葬式が行われる日には遺族の中の男子が沙弥出家をし、遺体を先導して火葬場に向かうという伝統があり、特に地方ではその多くが風習として残されている。
 火葬の前、あるいは火葬時に唱えられるのが音声ファイルに収録されている論母(mātikā)で、これは六十六項目のアビダルマの要約文を、善法、不善法、と順次に、かつ淡々と読み上げるもので、続く発趣論(paṭṭhānamātikāpāṭha)でも同様な構成が為されている。
 PDFは比丘衆による誦唱の様子、屋外での火葬の画像、そして、パーリ語の読経文とその和訳文を掲載して編集したものである。

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