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法と律
追加日: 2023年1月6日
発表年(月): 2018年8月
「顚倒」の解釈にみる大乗仏教の独自性と連続性
小坂有弘 (著)

【概要 / 抜粋】

本稿は初期仏教から大乗仏教の後期にいたるまで仏教の歴史を通して一貫して説かれてきた術語「顚倒」を研究の対象とし、初期仏教と大乗仏教においてこの語がどのように理解されているのかを明らかにすることで、大乗仏教の独自性と仏教としての連続性を考察する。考察に際し、初期仏教の顚倒理解はパーリ経典にもとづいて確認する。パーリ経典は伝承の過程で変容しているとはいえ、開祖であるゴータマ・シッダッタ(Gothama Siddhattha ca. 5 century BC)が説いた教えを合む経典であり、仏教の最初期の思想を知るには不可欠の資料である。また大乗仏教の顚倒理解は、大乗仏教の基本的教説である空性説を最高の教えとして継承する中観派の文献にもとづいて確認する。

【誤植】p.80下段8行目(引用直後)について
誤「常なものに対して」→ 正「無常なものに対して」

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