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法と律
追加日: 2021年1月26日
発表年(月): 2020年10月
瞑想の体験
ヴィパッサナーと坐禅の実践を通じて
田形 行宏 (著)

【概要 / 抜粋】

瞑想にはサマタ瞑想(止)(samatha)とヴィパッサナー瞑想(観)(vipassanā)がある。サマタ瞑想は、こころを特定の対象に結びつけて集中力を養う瞑想であり、ヴィパッサナー瞑想は心と身体を観察することによって、無常、苦、無我という真理の智慧に至る瞑想である。仏道を修行する者が必ず修めるべき基本的な項目に戒、定、慧の三学があるが、戒は戒律を守ることであり、定はサマタに、慧はヴィパッサナーに相当するといえる。南方上座部であるミャンマーのヴィパッサナー瞑想は、まず精神を集中するために静かな場所に座り、姿勢を正した上で目を閉じて、自己の呼吸を観察する。呼吸は調息することなく自然な呼吸を行う。そして集中力を高めた上で身体(眼、耳、鼻、舌、身)と心(意)に起こっている、さまざまな変化を観察する。そして観察していく内に、あらゆる現象は変化してやまない(諸行無常)、いなかる存在も不変の本質を有しない(諸法無我)、迷いの生存におけるすべては苦である(一切皆苦)という真実を体現し、涅槃に至る道である。

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