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法と律
追加日: 2021年1月26日
発表年(月): 2002年
仏教における律蔵の役割
佐々木 閑 (著)

【概要 / 抜粋】

仏教は本来、輪郭のはっきりした宗教であった。三帰依文に明確に表されているように、それは仏、法、僧という三つのものの集合体、すなわち三宝として規定されていたのである。仏(Buddha)とはシャカムニであり、法(Dharma)とはそのシャカムニによって説かれた教え、そして僧(Saṃgha)とは、その法にしたがって出家生活を送る仏教修行者のコミュニティーを指す。この三者が揃ったところに仏教 という宗教は成立するのであり、言い換えれば、三者すべてが揃わなければ、そこに本当の仏教はないということになるわけである。シャカムニの生存時ならば、この三宝が指す対象は具体的事物として現前に存在していたのであるから、見間違いようもなかった。