研究
追加日: 2021年1月26日
発表年(月): 2006年
発表年(月): 2006年
〈戒〉と〈律〉 ――シャカムニの仏教
佐々木 閑 (著)
【概要 / 抜粋】
仏教は今からおよそ二千五百年前、シャカムニを創始として北インドで成立した宗教であるが、それはキリスト教のような絶対神宗教とは本質的に異なる特性を持つ、きわめて異色の宗教であった。仏教の本質を理解するためには、仏教が生まれる前のインドの宗教事情を知っていなくてはならないので、まずそれを簡単に説明しておきたい。 仏教が誕生するよりもはるか以前、おそらくは紀元前千五百年から千二百年くらいの間のことであろうが、インドにアーリア人と呼ばれる民族が侵入してくる。もともとそこに住んでいた土着の人々を支配するかたちで自分たちの文化社会をつくりあげたアーリア人は、支配者と被支配者の二重構造を基盤にして独特の身分制度を導入する。これがいわゆるカースト制度と呼ばれる差別制度である。
総ページ数: 12