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法と律
追加日: 2022年12月7日
発表年(月): 2021年3月
縁起の法とその活用
修行の目的、出家と在家、戒と律
石川 勇一 (著)

【概要 / 抜粋】

ゴータマ・ブッダの説いた悟りとはいかなるものであろうか。七万七千二百六カ寺もの仏教寺院を擁する我が国においても(文化庁、2017)、それを正確に説明できる日本人は非常に少ないように思われる。しかし、原始仏典を読むならば、ブッダの説いた悟りは明解である。それは神話的に表現されたイメージではなく、死後に天国や浄土に行くことでもなく、来世に生まれ変わることでもなく、非二元やワンネスを一時的に垣間見ることでもない(石川、2018)。ブッダの到達した悟りとは、苦しみの根本原因である煩悩から完全かつ永遠に解脱(vimutti)し、苦しみが滅尽(nirodha) し、涅槃(nibbāna)に至ることである。つまり、僅かでも煩悩が生じたり、心に苦しみが湧くとすれば、完全に悟った人ではないということである。とはいえ、煩悩に日夜突き動かされ、無明に生きる私たちにとって、このような悟りの明解な定義をきいても、悟りを現実的なことと捉えるのは容易なことではない。

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