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法と律
追加日: 2023年8月19日
記録年(月):
無量心の修習・限りない慈しみ
Appamaññā-bhāvanā

【解説】

慈しみの想いを限りなく拡げるという営みが、パーリ小部経典や清浄道論では修行のあり方として提示されていて、それらに基づいて編集されたタイサンガの教理本「止の業処」には次の様な記述がある。
― 特定の人に限定して向ける慈心は、他者にとっての災いや苦をなくそうとするそのはたらきをより強める因となるが、当然のことながら、狭い範囲に留まるものとなる。 一方、村や町の人々、親愛感を共にする同じ民族の人々、最終的には命あるすべての生き物を家族同様に思いつつ 行う慈悲行には広がりがあり、人々と共に幸福であろうとするものなのである。
このような理由から、仏教では対象を特定せずに限界を定めない慈悲行がひろく行われるようになった。
慈悲行の修習においては、次の如くの聖典の語句が用いられて来ている。


 sabbe sattā averā abyāpajjhā anIghā
 sukhI attānaṃ pariharahtu.

 すべての命あるものたちに、怨みがなく、怒りがなく、苦しみがなく、
 幸ある己を護れますように。
               小部経典/無礙解道 二/俱存品 四/慈論


この様に記されている小部経典からの多くの引用語句によって作詞されたものがこの「無量心の修習」で、タイ国では宗教音楽として仏教儀礼が行われる様々な場面に用いられている。
和訳文はタイ国のダンマサイト、PALUNGJIT.ORGに掲載されているタイ語訳と南伝大蔵経第41巻p.70-p.71/慈論を参照して編集した。 ローマ字による表記はPALUNGJIT.ORGに記されているもので、パーリ語の表記とは異なる。

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